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飛騨ジビエを地域特産として全国へ!
2025-01-21

鳥獣害対策とジビエ活用について―専門家が語る現場のリアル

令和6年度の飛騨保健所、飛騨県事務所、飛騨農林事務所、飛騨市の職員に対する職場研修として、「鳥獣害対策とジビエ活用に係る研修会」が開催されました。

飛騨地域における鳥獣害対策とジビエ活用の現状について、各分野の専門家が講師を務める講演会となり、鳥獣被害の現状から、その対策、捕獲や食肉としての活用に至るまで、4名の専門家による幅広い視点からの報告が行われました。

(1)鳥獣被害とその対策について

講師:飛騨農林事務所 農業振興課 鳥獣被害対策専門指導員 桑山専門指導員

近年、野生動物による農作物被害が深刻化しており、飛騨地域も例外ではありません。講演では、鳥獣被害の現状とその対策について詳しく説明されました。

鳥獣被害の発生要因

  • 集落の過疎化や人口減少 により、耕作放棄地が増え、野生動物の活動範囲が拡大
  • 林業従事者の減少 に伴い、森林の管理が行き届かず、獣害が発生しやすくなっている

被害対策の現状

  • 被害を減らすためのフェンス設置や電気柵の活用
  • 種類別の捕獲状況 や、その成果についての最新データをもとに現場の状況を報告

(2)被害防止捕獲の現場からの報告

講師:ハンター・料理研究家 上屋薫里氏

ジビエ活用の前提となるのが「適正な捕獲」です。本講演では、現場での捕獲方法や注意点について、ハンターの視点から解説が行われました。

捕獲に使用する猟具

  • 銃による捕獲:迅速に仕留めることで、肉の品質を保つ
  • わなによる捕獲:狩猟免許の種類や設置方法について解説

捕獲後の注意事項

  • 食肉利用を前提とする場合、適切な処理を施すことが重要
  • ストレスを減らし、衛生管理を徹底することで、ジビエの品質向上につながる

(3)獣肉解体処理の現場からの報告

講師:(株)飛騨高山舞地美恵 代表取締役 田中恵美氏

捕獲された野生動物を、安全な食材として活用するためには、衛生的な解体処理 が不可欠です。講演では、食肉としてのジビエ利用における基準や制度について説明がありました。

衛生的な食肉利用のために

  • ぎふジビエ衛生ガイドライン:適切な処理を施し、安全な食肉として流通させるための基準
  • ぎふジビエ登録制度:基準を満たした施設や店舗のみが「ぎふジビエ」として認定を受ける制度

解体施設の紹介

また、講師の田中氏が代表を務め、高山市朝日町にて運営している(株)飛騨高山舞地美恵の解体処理施設の説明と、飛騨地域での獣肉解体処理についての現状などの説明がありました。

(4)イタリアンレストランからの報告

講師:オステリア・ラ・フォルケッタ オーナーシェフ / 森のごちそうの里・コミュノーテ飛騨代表 土井正行

ジビエを食の文化として定着させるためには、消費者に「美味しく、安全に食べられるジビエ」を提供することが重要です。そこで、ジビエ振興を目的とした具体的な活動が紹介されました。

飛騨地域におけるジビエ振興の取り組み

  • ぎふジビエ登録店舗の紹介:ジビエを積極的に提供している飲食店の現状
  • 飛騨ジビエ料理研究会 の活動:シェフや料理人が集まり、ジビエの調理技術や新メニューの開発を行う
  • 飛騨鹿肉料理フェア の開催:鹿肉の魅力を広めるためのフェアを定期的に実施

また、シェフの視点から、ジビエを美味しく提供するための調理技術や工夫 についても言及されました。

講演後に、ジビエ料理の試食が行われ、参加者の皆さんから講師に質問が行われ、有意義なディスカッションが行われました。

まとめ

本講演では、鳥獣被害対策の現状から、捕獲、解体処理、そして実際に消費者へ届けるまでの ジビエの一連の流れ と現状をお伝えできたと思います。

飛騨地域では、狩猟者・処理業者・料理人が連携しながら、ジビエの適正な活用を推進しています。持続可能な鳥獣害対策と食文化の発展のために、今後もこうした取り組みを続けていくことが重要です。

ジビエに関心のある方々にとって、実践的な知識を深められる貴重な機会となりました。今後も、飛騨地域におけるジビエ振興の動きを見守り、支えていきたいと思います。

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